電気二重層キャパシタ ( EDLC : Electric Double Layer Capacitor ) について検討しておく
F ( ファラッド )単位の大容量コンデンサである。
狙いは、DIGI Q の 2.4 V NI-MH 充電池の代替ができるかである。
(1)構造
@陽極箔、陰極箔には、g 当たり 1000 m^2 の表面積を持つ活性炭が塗布されている。
A短絡防止の電解紙には、水+硫酸 または 有機溶剤 TEABF4 / PC が含浸されている。
TEABF4 : 第 4 級アンモニュウム塩 を
PC : プロピレンカーボネイト ( 炭酸プロピレン ) に溶かしたもの
B普通のコンデンサにある誘電体はない。
化学反応を起こさない低い電圧 ( 定格電圧 ) を印加すると、電解液のイオンが両極にどんどん吸着し充電される。
活性炭表面一杯にたまると充電電流は流れなくなり、両極の界面に層のような様子となる。
(2)特徴
@電解液を使用しているので寿命は有限であるが、数十万回の充放電ができる。
A充電と放電に制約がない。
電源に能力があれば、大電流で秒単位の急速充電ができ、一気に大電流で放電しても壊れない。
B放電にともなって、電圧が変化する。
このため、定電圧が続く NI-MH などの充電池の代替は無理で、相補的な補助電源が役割とある ・・・ フーム
Vd を最低動作電圧とすると、ちょっとしか動かない。
C有機溶剤とあるが、火災の注意書きはない。
PC の引火点は 132 ℃、発火点 は 455 ℃ であり、 灯油の引火点 50 ℃、木材の発火点 250 ℃に比べて高いので、まァ 安心
重金属類は使用していない。
D原理的に定格電圧が 2 V 〜 5 V と低い。
直列にすればいいが、個別セルの充電管理が必要
E0.2 〜 1 Ω 程度の内部抵抗がある。
F自己放電は少ない。
(3)充電容量
@ Q = C × V
Q : 電荷量 ( クーロン )
C : 静電容量、F ( ファラッド )
V : 電圧 V ( ボルト)
A Q = A × t
Q : 電荷量 ( クーロン )
A : 電流 ( アンペア )
t : 時間 ( sec )
上記 @ と A より、2.5 V の 15 F の場合、総電荷量は、37.5 As となる。
1 A の定電流電源で充電すれば、 37.5 秒かかる。
0.2 Aで放電すると、37.5 ÷ 0.2 = 187.5 秒、約 3 分となる。
3 分で 0 V なので、おもちゃが動作する範囲は少ない。
(4)候補キャパシタ
動作時間が欲しいので、5.5 V のものから、三端子レギュレタで 2.5 V に落としてやりたい。
5.5 V 品では 1 F ぐらいのものしか入手できない。
なので、2 .5 V を直列にすればいいが、DIGI Q の BODY に 2 個は無理
大型 BODY に組み込む場合、以下が候補となる。
電圧 ( V ) |
容量 ( F ) |
φ × L |
As |
動作時間 ( sec ) |
@¥ |
2.5 |
10 |
12.5 × 25 |
50 |
125 |
270 |
2.5 |
25 |
16 × 25 |
125 |
312 |
500 |
2.5 |
60 |
18 × 40 |
300 |
750 |
1000 |
2.5 |
120 |
22 × 45 |
600 |
1500 |
1500 |
-- |
-- |
-- |
-- |
-- |
-- |
As 値 は、 2 個直列で 5 V 充電
動作時間は、0.2 A で、 5 V ⇒ 0 V の半分とした。
( 25 F の場合、 As 125 で 0.2 A だと 625 sec で 0 V となるから、半分の 312 sec では 残電圧が 2.5 V あるとの皮算用 )
これで見る限り、25 F が候補かなぁ。
(5)充電方法
DIGI Q の送信機兼充電器は、アルカリ単 3 電池 4 本の 6 V である。NI-MH だと 4.8 V
この送信機兼充電器回路からは充電しないこととする。
5 V 2A の定電圧電源から、抵抗 R ⇒ 充電端子経由で EDLC へ。
初期 1 A ぐらいで充電するとすると、充電開始時の電流は、短絡と同じなので 、R = 5 ÷ 1 = 5 Ω
抵抗の W 数は、 W = 1 × 1 × 5 = 5 W 、5 Ω 5 W のセメント抵抗
25 F の EDLC で、 Q = C × V = 25 × 5 = 125 As
63 % 充電時間 τ は、R × C = 5 sec 、満充電では 5 倍 として 125 sec
As からの計算 では、125 ÷ 1 = 125 sec となる。
1 A の定電流源なら 5 sec かな。
充電完了は、EDLC の+極 の電圧を PIC マイコン( AD入力付 ) で監視、充電中、充電完了を LED 表示する?
BODY 側で モータ用に 5 V ⇒ 2.5 V にステップダウン、これから制御用に A0 で 5 V に昇圧
下げたり上げたりでムダのようだが、これが一番遊べる時間が多い?
(6)結論
以上より、2014 .05 月現在の EDLC 能力では、DIGI Q の NI-MH の代替は、用途違い、改造範囲、コスト的に無理である。
NI-NH で やるしかない。
(7)参考資料
JIS C 5160-1 : 2009 _ 電子機器用固定電気二重層コンデンサー _ 第 1 部 : 品目別通則
JIS C 5160-2 : 2009 _ 電子機器用固定電気二重層コンデンサー _ 第 2 部 : 品種別通則 _ パワー用電気二重層コンデンサー
ELNA 資料 電気二重層コンデンサ
---- 2014.05.25 ----