901 安全の基本概念

(1)どこの誰がどう言っているのか?

@世界規模の問題を討議し、決定のできる機関として、国際連合がある。

A1994年、国連の一機関である国連開発計画部 ( UNDP ) が 「 Human Security : 人間の安全保障 」 という概念を発表し、これが基本概念とされているようだ。

B内容 ・・・ 外務省人間の安全保障パンフレット: 2011.10 版

C1994 版のを要約すると ( 上記外務省版は多少ニュアンスが違い、より現実的になっているよう )
  1.これまでの安全保障は、国家の安全が目標
  2.国が安全でも、貧困、飢餓、人権、環境といった個人の安全が確保されなければ意味がない。

D2 つの達成目標がある。
  1.恐怖からの開放 ( 戦争、テロ、伝染病、災害 ・・・ )
  2.欠乏からの開放 ( 仕事、食糧、自由 ・・・ )

E具体的は 7 つの保障
  1.安定な基本収入を得る仕事がある
  2.基本的な食糧を入手できる
  3.基本的な医療が受けられる
  4.水質汚染、砂漠化、大気汚染から保護されている
  5.国家、集団、人の暴力から保護されている ( 戦争、テロ、労働災害、交通事故、女性への脅威、児童虐待 ・・・ )
  6.圧政、民族対立、先住民差別から開放されている
  7.人権と民主化が保障されている

F実現方法
  1.国家は国を守るという形ではなく、人間の安全を守るという観点から政策を決定しなければならない。

  2.国家だけでは無理で公的団体、民間団体がネットワークを形成し、一体となって行わないとできない。

資源投入的には、各国の防衛予算を減らして 「人間の安全保障 」 関係の予算に回すべき。
途上国は、国家予算の 20 % を 「人間優先関連分野 」 にあて、援助国もこの分野への配分率 を 20 % まで引き上げるべき。



---- 以上が概略 ----


上記の 7 つの保障は、20年前の日本でおおむね達成しているが、近年、ある部分では思惑外れの方向になっている気がする。
ある程度のレベルが保障されると、より高い要求が出てくるのが常だが、100 % は実現不可能であるし、目標にすべきではない。
過保護になるのが一番いけないので、保障は、50 % ぐらいにとどめ、あとは自分で守るという教育訓練と個人の努力に委ねるのがいいと思う。


(2)おもちゃの安全性とどう関係する?
おもちゃの安全性は、後進国にとっては、枝葉末節のことである。
大きいレベルをおおむね達成できた中進国となって初めて、個々の詳細に進んでいける。
おもちゃの安全性は、E - 5 の暴力から保護のずっと下流に位置するものとしていいだろう。









---- 2014.02.04 ----